「収納が足りない！」を解決するローコスト住宅のつくり方｜片付けがラクになる簡単収納アイデア
ローコスト住宅で暮らし始めた人が、意外と早いタイミングで口にするのが「思ったより収納が足りないかも」というひと言です。
間取りは気に入っているし、広さも予算の中では精一杯。でも、じわじわと効いてくるのが“片付けのしにくさ”。実は、家事や片付けのしやすさは、延床面積よりも収納のつくり方に左右されることが多いのです。
ローコスト住宅だからといって、収納をあきらめる必要はありません。 ちょっとした収納アイデアと視点の切り替えで、片付けにかかる手間を減らし、
生活動線に合った収納をあとから足していくことは十分可能です。
小さなアイデアを重ねることで、「うちには収納が少ない」という思い込みが変わっていくこともあります。
このコラムでは、ローコスト住宅との相性が良い収納アイデアを取り上げながら、「片付けやすい仕組み」 をどう作っていくかを具体的にお伝えします。「大きな家じゃなくていいから、毎日がラクになる家がいい」と感じている方のヒントになれば幸いです。
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ローコスト住宅の収納はなぜ足りなくなる？─ 予算・間取り・生活動線…何が「片付けにくさ」を生むのか
ローコスト住宅で収納が不足しやすい本当の理由
ローコスト住宅に住んでいる人と話していると、「暮らし始めてから収納のことが気になり始めた」という声はとても多いです。
予算を抑えるため、間取りや設備をシンプルにまとめる設計が増えますが、「ローコスト＝収納が少ない」と決めつけてしまうと本質を見落としがちです。
実際には、収納の“量”より“役割”や“配置”が暮らしと噛み合っていない ことが原因のことも少なくありません。ここに、後から効いてくる改善アイデアの余地があります。
たとえば玄関。見た目をスッキリさせるためにコンパクトな玄関収納を選ぶと、バッグや子どもの外遊び道具、季節の小物が収まりきらず、「とりあえず床に置いておく」が日常になります。ローコスト住宅では、この「とりあえず置き場」が生まれやすいのです。
さらに、収納の「幅・奥行き・高さ」と、家族が持っている物の量や種類が合っていないケースもよくあります。中を見ると奥の方に使っていない物が眠っていることも多く、「広さ」だけを見ていては、本当の課題が見えません。
片付けが続かないのは「収納の位置」と「動線のズレ」？
片付けがうまくいかない家には、収納の位置と暮らしの動線とのズレがあります。
図面上は収納量が十分でも、使う場所から数歩離れているだけで、人は片付けをサボりがちです。ここを埋めるのが、動線に寄せた収納アイデアです。
たとえばリビングで毎日使う書類や子どものプリントを別室の収納にしまう想定にすると、片付けるためにわざわざ立ち上がる必要が出てきます。ローコスト住宅はコンパクトなのに、収納位置が画一的で生活パターンをイメージして決められていないと、かえって片付けにくさを感じます。
キッチンでも、食品・調味料・日用品が一カ所に詰め込まれ、奥行きの深い棚にぎゅうぎゅうに入っていると、手前に出した物を戻す気力が薄れていきます。
洗面所でも、家族それぞれのケア用品の定位置が曖昧だと、「置きっぱなし」が積み重なっていきます。
ローコスト住宅の間取りでは、「どこに何を置くのかというルール」がつくりにくい配置になっている場合があります。このルールづくり自体も、収納アイデアの一つと考える と整理しやすくなります。
“収納が足りない家”は、本当に足りない？ 誤解されがちなポイント
「うちはとにかく収納が足りない」と感じているご家庭でも、実際に家の中を見て回ると、
「ここ、まだ使えていない壁ですね」
「この上の空間、棚を一枚足すだけで収納になりますよ」と指差せる場所がいくつも見つかることがあります。
リビングの隅の壁面、キッチン横のわずかな奥行き、洗面所の天井近く…。ローコスト住宅はコンパクトだからこそ、こうした“余白” が見えにくいのですが、よく探せば収納アイデア次第で活かせる余地が残っていることも多いのです。
「収納量が物理的に足りない」のか、
「収納の位置や役割が暮らし方と合っていない」のか、
一度立ち止まって考えてみるだけでも、次に選ぶべき収納アイデアが見えてきます。
ローコスト住宅でも、片付けがラクになる収納づくりは十分に可能です。 家具を増やす前に、家全体のバランスを整えるような“現実的な収納アイデア”を、次の章から見ていきましょう。
ローコスト住宅でも収納を増やせる？─ 家具に頼らず“間取りの考え方”で変わるポイント
ローコスト住宅の収納は「つくる視点」を変えるだけで増やせる
「ローコスト住宅だから、もう収納を増やす余地なんてない」と感じてしまう方もいますが、図面や現場を見てみると「この一角、もったいないな」という場所が意外とあります。そこが収納アイデアの入り込めるスペースです。
収納が足りないと感じたとき、人は大きな収納家具を追加しがちです。しかし、通路が細くなったり扉が干渉したりして、家事動線が悪くなってしまうこともあります。
ローコスト住宅で片付けをラクにしたいなら、「今ある間取りの中で、どこに余白があるか」を探すところから始めるのが現実的です。
階段下、廊下のコーナー、洗面所の上部などは収納に転用しやすい代表例です。ここに棚板を数枚足したり、浅い収納を造作したりするだけで、“何となく床に置いていた物”の居場所が決まっていきます。材料や工事のコストも抑えやすく、ローコスト住宅と相性の良い収納アイデアと言えます。
“使う場所に近い収納”が片付けを変える
ローコスト住宅で片付けが続かない一番の理由が、「収納の位置が生活動線と合っていない」
ことです。
収納を増やすときは、「どれくらい入るか」より「どこに置いたら戻しやすいか」を優先して考えます。
たとえば、
・玄関に家族それぞれの置き場をつくる
・キッチン横の壁に浅い棚を足す
・洗面所にタオル専用の収納をつくる
・リビング近くに子ども専用の収納コーナーを用意する
といった小さな工夫でも、片付けに必要な歩数を減らせます。こうした 「動線を短くするアイデア」は、ローコスト住宅のようなコンパクトな家ほど効果が出やすいです。
扉を減らす・奥行きを浅くするだけで使いやすい収納に
意外と効くのが、「扉」と「奥行き」の見直しです。
扉が多い収納は見栄えは良いものの、開け閉めが面倒で片付けが続かないこともあります。あえて扉を外してオープン収納にすると、「「サッと置いてサッと戻せる」」気軽さが生まれます。
また、奥行きが深すぎる収納も要注意。ローコスト住宅の標準的な収納は奥行き40cm前後のものが多く、物を重ねてしまいがちです。奥の物が見えにくいと「とりあえず手前に置く」が増え、片付けのストレスになります。
浅い収納に変えると、“前に並べる収納”になり、何がどれだけあるか一目で把握しやすくなります。 高さを調整できる可動棚を組み合わせれば、棚板を数枚足すだけで収納量は増え、暮らしの変化に合わせて調整もできます。大掛かりな工事をしなくても、「扉・奥行き・高さ」を見直す収納アイデアで、ローコスト住宅の片付けやすさは大きく変わります。
片付けがラクになる収納アイデアは？─ 家事動線に沿った“使う場所に戻せる”仕組みが鍵
片付けがラクになる収納アイデアの基本は「動線」から考える
片付け上手な家を見ると、収納の量が特別多いわけではないのに散らかって見えません。その違いは、動線に合わせた収納の配置にあります。そこには、その家なりの収納アイデアが隠れています。
ローコスト住宅のようにコンパクトな住まいでは、動線と収納の関係が特に重要です。
「どれだけ短い動作で元の場所に戻せるか」を意識し、数歩歩かないと届かない収納より、その場から一歩で届く収納を優先するだけでも、片付けの続きやすさは変わります。
場所別の収納アイデア──玄関・キッチン・リビング・洗面所で効く工夫
●玄関
バッグ・上着・学校用品・アウトドア用品など、名前をつけにくい物が集まりやすい場所です。家族ごとに「ここに置いていい」というスペースを決め、壁付けフックや浅い棚を追加するだけで、床に物がたまりにくくなります。小さな土間収納があれば、外で使う物の置き場として活用できます。
●キッチン
奥行きの深い棚は物を重ねやすく、戻すのが面倒になります。キッチンでは、「浅い収納」と「可動棚」の組み合わせが効果的です。浅い棚に変えると、一列で並べやすくなり、戻す動作も軽くなります。調味料やストック品を“使う頻度別”に配置するアイデアも効きます。
●リビング
家族が集まるリビングは、物も集まりがち。ローコスト住宅では面積が限られるため、少し散らかっただけで雑多に見えます。大切なのは「きっちり分類しすぎない」こと。家族ごとの日用品ボックスを用意したり、テーブル下に浅い収納を追加したりして、「とりあえずここに戻せばOK」というルールをつくると、片付けのハードルが下がります。
●洗面所
洗面所は高さ方向に余白があることが多く、収納を増やしやすい空間です。タオルや洗剤、ドライヤーなどは、手の届きやすい高さにまとめるだけで、毎日の片付けがスムーズになります。家族ごとに棚やボックスを分けると、朝の準備で物が混ざりにくくなります。
“戻しやすい仕組み”が片付けを習慣化する鍵になる
収納を増やすこと自体が目的ではなく、「片付けが自然と続く仕組み」をつくることがゴールです。
・扉を減らし、オープン収納を増やす
・奥行きを浅くして、「重ねない収納」にする
・目線や手が届きやすい高さに“戻しやすい収納”を置く
といったシンプルな収納アイデアでも、ローコスト住宅では十分な効果があります。
スペースに限りがある分、「収納と生活動線の距離」を短くしやすい家とも言えます。
ローコスト住宅の収納問題は本当に多い？
ここまで読むと、「うちだけが特別片付けにくいのかな？」と不安になる方もいるかもしれません。実はローコスト住宅に限らず、収納や広さに関するモヤモヤは、住まい全体でよく聞かれる悩みです。
ある調査では、住宅を取得した人が「妥協した」と感じているポイントに、価格のほか「広さ」「間取り・部屋数」が挙げられています。
予算を優先した結果、どうしても延床面積や部屋数を抑えることになり、そのしわ寄せが収納にも及んでいる構図が見えてきます。
同じく「住生活総合調査」や住生活に関する研究でも、住まいの満足度に影響する要素として、「使い勝手」や「間取りの適切さ」が重視されています。
これは、「収納の量」だけでなく、どこに収納があり、どのように使えるのかが暮らしやすさと深く結びついていることを示しています。
収納の位置や片付けのしやすさを全国レベルの統計で扱ったデータはまだ多くありませんが、研究や自治体アンケートでは、
「使う場所から遠い収納は、だんだん使われなくなる」
「動線と収納の配置が合っていないと、日常的に散らかりやすい」
といった傾向が指摘されています。
つまり、
・ローコスト住宅を含め、価格を抑えて家を建てる層は広さや間取りで妥協が起きやすい
・広さを抑えた結果、収納スペースにも工夫が必要になる
・そのとき、収納量だけでなく「位置」や「動線との相性」が暮らしやすさを左右する
という構造があると言えます。
「ローコスト住宅だから片付かない」のではなく、限られた空間をどう使うかが問われている、、 と考えた方がしっくりきます。そこに、暮らしに合った収納アイデアを少しずつ重ねていくイメージです。
片付けに悩んだ家族の気づき― 収納アイデアで暮らしが変わった3つの実例
【実例1】玄関に物が集まり続ける家庭
ローコスト住宅に住むAさん一家が一番ストレスに感じていたのは玄関でした。
床にはバッグや上着、子どもの道具が出たまま。Aさんは「収納が足りないんだろうな」と思っていましたが、シューズボックスの中を見ると、意外と空きスペースがありました。
そこで家族ごとに小さな棚とフックを追加し、「ここに掛ける・置く」というルールをつくったところ、数日で玄関の景色が変わりました。
この“家族別フック”というささやかな収納アイデアが、玄関の散らかりを一気に減らしたのです。
【実例2】キッチンの片付けが続かない家庭
料理好きのBさん夫婦は、ローコスト住宅のコンパクトなキッチンを上手に使いたいと思っていましたが、カウンターの上に調味料や食材が並びっぱなしになっていきました。
「もっと大きなキッチンにすればよかったかも」と感じたとき、奥行きの浅い棚と可動棚を試しに採用。
深い収納では物を重ねてしまい、戻すのが面倒でしたが、浅い棚に変えたことで「一列で並べて、元の場所に戻す」動作がしやすくなり、片付けがぐっとラクに。
「収納を増やすより、“どこに・どう置くか”の方が大事だった」とBさん。小さな収納アイデアで、ローコスト住宅のキッチンでも使い勝手は十分に良くなります。
【実例3】リビングが散らかり続ける家庭
Cさん宅では、リビングにリモコンや雑誌、子どもの勉強道具が集まり、片付けてもすぐ元通りになるのが悩みでした。
「リビングが狭いから、ローコスト住宅はやっぱり片付けが難しい」と感じていたそうです。
そこで、リビング内に“ざっくり戻せる”収納ボックスを一つ置いてみることに。「リモコン・本・文房具はとりあえずこの箱に戻せばOK」というルールに変えたところ、家族全員が片付けに参加しやすくなりました。
「ちゃんと分けなきゃ、と自分でハードルを上げていたんだと思います。完璧な分類より、“戻しやすさ”を優先した方が、うちには合っていました」とCさん。
こうした「ざっくりボックス」のアイデアは、リビングの散らかりに悩むご家庭にとって、取り入れやすい工夫です。
◎3つの実例に共通していたのは、
・収納が足りないのではなく、位置や戻し方が暮らしに合っていなかったこと
・大掛かりなリフォームではなく、小さな収納アイデアの積み重ねで改善したこと
収納は“量”より“場所と仕組み”。 そこに暮らしに合うアイデアをのせることで、ローコスト住宅の暮らしはぐっと軽くなります。
FAQ｜ローコスト住宅の収納・片付けのお悩みをまとめて解決
Q1. ローコスト住宅だと、やっぱり収納は諦めるしかないですか？
そんなことはありません。
階段下や廊下の角、洗面所の上部など、ちょっとしたスペースに棚やニッチを足すだけでも、片付けやすさは変わります。こうした“隙間を活かすアイデア”はコストもかかりにくく、おすすめです。
Q2. 片付けが苦手でも続けやすい収納のコツは？
ポイントは「戻す動作を減らすこと」です。
使う場所のすぐ近くに収納をつくる、扉を減らしてオープン収納にする、カゴやボックスを使って“とりあえず戻せる場所”をつくる、といったアイデアが有効です。自分の性格に合うアイデアを一つずつ試してみてください。
Q3. 家具を買い足さずに収納を増やす方法はありますか？
あります。
「壁」「天井近く」「奥行きが余っている部分」を見直し、可動棚を追加したり浅い棚を取り付けたりするだけでも収納は増やせます。ローコスト住宅でも取り入れやすい収納アイデアです。
Q4. 玄関がいつも散らかってしまいます。どこから手をつければいいですか？
玄関は、「置いていい場所」を決めてしまうのが近道です。
家族ごとのフックや棚を設けてバッグや上着の定位置を作ると、床置きが減ります。壁付け収納や小さな土間収納をプラスするアイデアも、ローコスト住宅と相性が良いです。
Q5. キッチンの出しっぱなしグセが直りません…。
「深すぎる収納」が原因のことが多いです。
奥行きの浅い棚に変えたり、手前によく使う物だけを並べるようにすると、戻すのが面倒ではなくなり、片付けが続きやすくなります。浅い収納＋可動棚の組み合わせは、ローコスト住宅のキッチンにおすすめのアイデアです。
Q6. リビングが常にごちゃごちゃしてしまいます。いい方法はありますか？
リビング収納は「ざっくり仕分け」が合っていることが多いです。
家族ごとのボックスを用意し、「細かい分類はしないけれど、とりあえずここに戻す」というルールにすると、片付けのハードルが下がります。戻す距離を短くする収納配置とセットで考えるのがポイントです。
Q7. 洗面所の収納が少なすぎて、すぐに物であふれてしまいます。
洗面所は、“高さ”を活かしやすい場所です。
可動棚を足してタオルや洗剤、ストック品の置き場をつくり、家族ごとのボックスで分けるだけでも改善します。シンプルな収納アイデアで十分効果があります。
Q8. プロに収納や片付けの相談をするとき、何を伝えればいいですか？
「どの場面で片付けが止まるのか」を具体的に伝えるのがコツです。
「玄関でカバンが床に置きっぱなし」「この棚だけ戻すのが面倒」など、日々のプチストレスを共有すると、ローコスト住宅の間取りや収納に合ったアイデアを提案してもらいやすくなります。
まとめ｜ローコスト住宅でも“片付けが続く家”は必ずつくれる
ローコスト住宅は、予算とのバランスを取りながらコンパクトにまとめた住まいです。
そのぶん、「収納が足りない」「片付けが大変」と感じる場面が出てきやすいのも事実ですが、だからといって“片付けにくい家”で一生我慢しなければならないわけではありません。
大事なのは、収納を「いくつつくるか」ではなく、「どこに、どう置くか」という視点 です。
・収納を闇雲に増やすのではなく、片付けがラクになる仕組みを優先すること
・使う場所のすぐそばに収納を用意して、動線を短くすること
・扉や奥行き、高さを見直して、「戻しやすい収納」に変えていくこと
この3つを意識するだけでも、ローコスト住宅での片付けやすさは大きく変わります。そこに、わが家なりの収納アイデアを少しずつ足していくイメージです。
棚板を一枚足す、玄関にフックを増やす、浅い収納を取り入れる──どれも今日から試せる工夫です。
収納は“量”だけではなく、“場所”と“仕組み”。
そして片付けは、“根性”ではなく、“環境づくり”で変えられる作業です。
ローコスト住宅でも、家族の動きに合った収納計画を整えていけば、毎日の片付けは今よりずっと軽くなります。
まずは気になる一カ所からで構いません。
小さなアイデアの一歩が、暮らし全体の心地よさを底上げしてくれるはずです。
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